【三宅まさるの山城コラム】#2 山城の復元~縄張り・地形の復元作業に向けて
縄張りと地形の復元
今回のプロジェクトでは、地形、縄張り、建物の全てをデータ化したうえで成形し、完成品だけでなく、「築城を楽しめるキット」としても提供できるように復元しようということになった。
当コラムを執筆している2021年3月8日現在で一般的に市販化される戦国時代〜織豊期にかけての山城のプラモデルは、概ね岐阜城と安土城の2城である。
戦国時代の様相を復元し量産販売していたプラスチックモデルキットは過去に一部は例があったが現在では皆無である。城郭のプラスチックモデルキットを制作するのには膨大な人員、時間、知識、設備が必要になり、それに伴う費用も莫大である。採算性が乏しい分野であるという理由からか、城郭の新しいプラモデルキットが発表されることは少なくなってきている。
もっとも、地形・縄張りにおいては相応な費用を出せば簡単にできる航空レーザー測量というものがあるが、それは様々な問題点を含む。
今回のプロジェクトで復元を目指す山城(中世城郭)は、城という字が示す通り、大部分が土で成る。数百年の時を経て現在に残される最中には崩落で失われたり、後世の人々によって改変された場所も多い。航空レーザー測量では、それらのノイズも全て拾い上げてしまう。復元ということならば、それらのノイズを取り去らなければならない。曲輪・土塁・堀の崩落の復元、後世の人々によって破壊された遺構の復元。それらを実行できるのは経験と勘を培ってきた人間ということになる。今回のプロジェクトでは「マンパワーを最大限利用する」ということになった。